【第二夜】きっと仮面の下を知ったら嫌われてしまうから

 


書斎を出るとき、椿は一度だけ振り返った。
 


父はもう、書類に目を落としている。
 


そこに、娘の迷いが入り込む余地はなかった。
 


廊下を歩きながら、椿は思う。
 


――これは、選択肢じゃない。
 


――決定事項だ。