フィオナの運命

「うーむ……。外傷はないのですが、熱が高く、身体がなにかの拒否反応を示しているようです」
「それは、毒物とかでしょうか?」

フィオナの問いに、ドクターは小さく首を振る。

「解毒剤を投与してみましたが、全く効き目がありません。毒ではなく、おそらく……」

言い淀むドクターに、フィオナはすがる思いで両手を組んだ。

「毒ではないなら、なんでしょう? 教えてください、ドクター」
「おそらく、呪いの一種かと」

フィオナはハッと目を見開く。

「まさか、そんな……。王家にかけられた呪いは、解けたはずでは?」

呆然としたあと、フィオナはユーリを振り返った。

「ユーリ、バギラ様ならなにかお分かりになるかもしれないわ」
「承知しました。すぐにお呼びします」

ユーリが身を翻すと、フィオナは今度はローラを振り返る。

「ローラ、ルシアス様の身体を冷やしましょう。布と氷水を」
「かしこまりました」

フィオナはローラが運んで来たボウルの水に布を浸し、固く絞ってからルシアスの額に載せた。

「ルシアス様、ルシアス様?」

何度も呼びかけるが、ルシアスは土気色になった顔で、苦しげな呼吸を繰り返すだけだった。
フィオナは胸が張り裂けそうになる。

「お願い、ルシアス様。気がついて」

祈るように、ただルシアスの汗を冷たい布で拭うことしか出来ない。

その時「フィオナ様! バギラ様をお連れしました」と、ユーリが駆け込んで来た。

「バギラ様、お願いいたします」

フィオナは立ち上がり、ベッドの横をバギラに譲る。
バギラは頷いて早速水晶を取り出した。