「あら貴方、ワンちゃん飼って良いんですか?それなら私、シーズーちゃんが良いですわ〜!」
冗談で言っただけの親父が「えっ、しーずーぅ!?」とギョッとした。
我が家では既に一匹、女の子のシーズー・モコちゃんをとっくに飼っている。親父が「ちょ、待って」みたいな顔しちゃうのも無理はない。
「駄目ぇ?」
「い、いや…別に駄目ってわけじゃないけどさぁ…」
お袋は犬を可愛がる専門で、親父は犬の身の回りの世話係担当だから、ただでさえ人間のハウスクリーニングの仕事だけで手一杯なのにそこに犬のハウスクリーニングの仕事まで増えたらたまったもんじゃないんだろう。俺だったら絶対嫌だ。家出する。
「もう一匹シーズー駄目です?」
「えぇっと…シーズーの話しはちょっとまた後でしようね、ママ!ー…息子よ」
山代組・頭バージョンに戻った親父が俺を真正面から見てきた。
「お前に新たな任務を頼みたい」
「断る」
「……」
「……」
しばし沈黙が落ちてからダァンッと親父は机を叩いて立ち上がった。
「おだづなよっこの!ほんでなすっ!!」
「だから何て!?」
………ーーーそんなこんな色々あって親父から無理矢理新たな任務を渡された俺は今何故か、どっかの知らない爺さん達に混ざってとある地方の温泉に入っていた。そして…
「わ〜い!久しぶりの温泉、嬉しいなったら嬉しいなっ♪るんるんっ♪」
誰もついて来いなんて言ってないのに爽太まで勝手について来ていた。何故こうなった?



