海姫物語

姫奈の服を預かっているから、逃げるわけがないと考えたのかもしれない。
だけど姫奈は勢いよく立ち上がると民泊の狭い部屋から飛び出した。
「おい、どこに行くんだ!」
後から大輝の声が追いかけてくる。
「お前は俺のことが好きなんだろ!? なんで逃げるんだよ!」
好きだった。
確かに大輝を好きだと感じた。
だからエリクを無理してでもここへやってきたに違いない。
でも……。
好きだけじゃダメなの?
どうしてあんなことをしなきゃいないの?
姫奈は頭はぐちゃぐちゃで、もうなにも考えられなかった。

☆☆☆

「昨日の手伝いで疲れちゃって」
翌日の姫奈はそう言って部屋から出なかった。