海姫物語

本当は話しちゃいけないとわかっているけれど、助けてくれた大輝になにもかも秘密にしておくことが後ろめたくなってしまったのだ。
それに、大輝なら信用できる。
姫奈はそう信じていた。
「そんなものあったっけ?」
「見えないけど、あります。私はずっとそこにいて、そこで育ちました」
「ふぅん?」
一応は納得したのか、それとも姫奈の言葉なんて最初から信じていないのか、大輝はよくわからない反応をしてタバコの煙を窓の外へ向けて吐き出す。
「でも、今日はちょっと嫌なことがあって、それで……」
エリクが土下座する姿を思い出すと胸の奥がモヤモヤしてくる。
エリクはそこまでしてでも姫奈を引き止めたかったんだ。