海姫物語

相変わらず民泊でお世話になっているふたりは頻繁に夫婦の手伝いをした。
だけどやることといえば、それくらいだ。
毎日の勉強も研究のためにプールへ入ることもしなくなった。
「このままここで働いてくれていいんだよ」
と、民泊の奥さんは目にシワを寄せて言っている。
ふたりがすでに義務教育を終えているということで、そういう選択もあるみたいだ。
「てっきり施設に入るんだとばかり思ってたよ」
夕飯の支度をしながらエリクが言う。
「そうだね。子供のいない子が集まる場所でしょう? だけど私達は働きたいなら働ける年齢なんだって」
姫奈はお味噌汁に入れるダイコンを薄く切りながら答えた。