そのとき初めて、アレクシス殿下が、この国で最強の剣士と呼ばれる理由を理解した。
狼のように獰猛に地面を蹴り、たった今逃げ出そうとしている襲撃者に迫っていく。握ったサーベルからは、青い火花が迸っていた。
「逃げ切れると思うなよ」
低い声が、ゾワッとするほど冷たい。ちらりと見えたアレクシス殿下の横顔は、辺りの空気ごと氷漬けにしてしまいそうな怒りに満ちている。
アレクシス殿下が一気に前に躍り出て、もう逃げ出し始めている襲撃者の背後につく。そして魔力をまとったサーベルを振り上げ、まっすぐに振り下ろす——
「アレクシス! アレクシス、待って! お願い!」
私の叫び声が耳に届いたようで、殿下は斬撃の途中で急に力を緩めた。サーベルは狙いを逸らして、地面を裂くように穴を空ける。
「やめて。人を殺してしまう! あなたは、そんなこと望まないはずだ!」
身体が震える。力が入らない。怪我の痛みと、殿下の本気の怒りと、ついさっきまでの憩いと戸惑いと——短時間にあまりにたくさんの感覚に襲われすぎて、思うように動けなくなってしまっている。
それでも、必死の叫びはアレクシス殿下に届いたようだった。
アレクシス殿下は少しのあいだ立ち止まって、すでに遠ざかりつつ襲撃者を見つめていた。
広範囲に及んだ斬撃は一部が当たったようで、襲撃者のマントはボロボロだ。鎧の破片や、わずかに血痕も残っている。
あれをまともに食らえば、間違いなく命を落としていただろう。
狼のように獰猛に地面を蹴り、たった今逃げ出そうとしている襲撃者に迫っていく。握ったサーベルからは、青い火花が迸っていた。
「逃げ切れると思うなよ」
低い声が、ゾワッとするほど冷たい。ちらりと見えたアレクシス殿下の横顔は、辺りの空気ごと氷漬けにしてしまいそうな怒りに満ちている。
アレクシス殿下が一気に前に躍り出て、もう逃げ出し始めている襲撃者の背後につく。そして魔力をまとったサーベルを振り上げ、まっすぐに振り下ろす——
「アレクシス! アレクシス、待って! お願い!」
私の叫び声が耳に届いたようで、殿下は斬撃の途中で急に力を緩めた。サーベルは狙いを逸らして、地面を裂くように穴を空ける。
「やめて。人を殺してしまう! あなたは、そんなこと望まないはずだ!」
身体が震える。力が入らない。怪我の痛みと、殿下の本気の怒りと、ついさっきまでの憩いと戸惑いと——短時間にあまりにたくさんの感覚に襲われすぎて、思うように動けなくなってしまっている。
それでも、必死の叫びはアレクシス殿下に届いたようだった。
アレクシス殿下は少しのあいだ立ち止まって、すでに遠ざかりつつ襲撃者を見つめていた。
広範囲に及んだ斬撃は一部が当たったようで、襲撃者のマントはボロボロだ。鎧の破片や、わずかに血痕も残っている。
あれをまともに食らえば、間違いなく命を落としていただろう。

