私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 セリーヌ嬢が懐っこく言いながら、小さく唇を尖らせる。それにしても、なんて可愛らしい人だろう。
 
「では、今月の末に、またお伺いします」
 
 いつのまにか、セリーヌ嬢も私の大切な友人のひとりになっていた。
 
 セリーヌ嬢が王太子妃となられたら、もう今のようにお会いすることは出来ないだろう。
 
 こんな思案がふっとよぎることもあったが、私は考えないようにしていた。
 
 それではまた、と、嬉しそうに去っていくセリーヌ嬢。私も続けて、サロンが行われていた部屋を出た。
 
 廊下を渡りながら、ぼんやりと考え事をする。
 
 前回お呼ばれしたお茶会は、とても楽しかった。セリーヌ嬢は上品なだけではなくとてもお茶目で、私の知らないことをよく知っていた。
 
 公爵家令嬢なだけあって家政全般——料理、掃除、洗濯など——に精通していたが、もともとそうした細やかな仕事を好むお人柄のようだ。
 
 こうして城で運営しているサロンも、セリーヌ嬢の手によってどんどん居心地のいい場になっていた。
 
 次のお茶会では、どんな話をしよう。楽しみに思いながら廊下の突き当たりに着き、角を曲がったその瞬間だった。
 
「ヴィオラ」