城の小間使いに案内されて、用意してもらった自分の部屋に向かう。
これからは、この部屋で寝起きすることになるのだ。伯爵家である実家の自室よりは狭いものの、なかなか広い部屋だ。
調度品もひと通り揃っているし、装飾は少ないが品もよい。
窓を開けて、清涼な空気を胸いっぱいに吸い込む。清々しい夏の風が、爽やかに通り抜けていった。
私はさっきの衝撃的な出会いをまだ引きずりながら、もらった花束を飾ることにした。
このあとまた王太子殿下と落ち合って任務に就くが、ともかく花束を持っていくわけにはいかない。
用意してもらった花瓶に花を差し入れると、思わずため息が出た。
可憐な夏の花々が、部屋にうるおいを与えてくれるようだった。淡い彩りの花やハーブを眺めていると、心が落ち着く。
さっきは、なんだかんだいっても緊張してしまっていたようだ。クローゼットと姿見の前に立ち、深呼吸をする。
立派な鏡には、少し疲れた自分の姿が映っていた。見慣れた青い瞳が、こちらを見つめ返してくる。
燃えるように赤く長い髪は、また少し傷んでしまったようだ。毛先を気にしながら、動きやすいようひとつに結び直す。
もともとは抜けるように白かった肌も、少し陽に焼けて乾燥してしまっている。屋外で剣を振る毎日を送っているのだから、仕方がないが。
少女の頃から剣を振り続けて、女ばかりの団である『白百合騎士団』を結成したのは、もう四年前のことになる。私は当時十六だった。
「評判の高い白百合騎士団を、王宮騎士団として迎えたい」
……と、王家の遣いから伝令を受け取ったときは、めったに飲まない酒で祝杯をあげたものだ。

