「お化粧もいいっスよね〜。最初、ヴィオラさまだって分かりませんでしたよ! 凛々しいのにカワイイ!」
化粧は元の肌の白さを引き立て、口紅と髪の赤色が映えるようにしてもらった。確かに肌はツヤツヤだし、まあ可愛らしく仕上げてもらったのだろう。。
「はあ……てっきり、私も警備に就くと思ったのに……」
「ヴィオラさまは団長だけど、その前に伯爵令嬢じゃないっスか! その美貌で、貴公子たちを片っ端から射止めてきてくださいよ!」
「い、いや……というか、リーネだって舞踏会に出る資格はあるんじゃ……」
「アタシはいいっス。ドレスとか化粧とかダルいし」
あっけらかんと言うリーネに、思わず笑ってしまう。私だってドレスも化粧も性には合わないのだが——とはいえ、たまになら社交界もなかなか楽しいものだ。
私は控え室をあとにして、会場へ足を踏み入れる。胸には、青い魔石が煌めくブローチをお守りのように留めた。
大広間は、すでに賑わっていた。純粋にこの場を楽しんでいるらしい人もいれば、狙ったお相手を注視している人もいる。
私は、のんびりと会場を見渡した。毎月毎月あっても困るが、こういう華やかな場はたまにならいいものだ。
エスコートの申し出はたくさんあったのだが、どれも断った。正直、一人で気楽に料理でも楽しみたい。
せっかく招待されたので顔は出すが、頃合いを見計らって失礼しよう。
たまには、お酒でも飲むのもいいかもしれない。なんとなく、軽食の並んだテーブルへと向かったそのとき。
会場の喧騒が、ふっと静まった。人々の視線が、大広間の前方に集まっている。見ると、この舞踏会の主役が登場したところだった。
アレクシス殿下と、セリーヌ嬢だ。

