急に、今装備している、騎士の軽装が気になってきた。動きやすいよう一つに束ねただけの長い赤毛も、手入れの不足が気になってしまう。
「どんな品が好みだ? やはり、ネックレスや髪飾りがいいだろうか」
殿下が、なにやら考え込みながらショーケースを指し示す。曇りひとつないケースの奥では、様々な装飾品が鎮座していた。
「それが……髪や首につけるものは、ほとんど使ったことがないのです。動きやすいこと、すぐに剣を振るえることを一番にしてきましたから」
「なるほど」
殿下は、はっとしたようだった。店主に頼んで、別の品物が入ったケースを運んできてもらう。
「それなら、胸につけるブローチはどうだろうか。外套を留めるのにも使えるし、邪魔にもならない」
新たな品々は、どれも小振りだがとても趣味が良い。楕円形、台形、星、花、貝殻……地金のモチーフだけでも、実にさまざまだ。
「うーん……このごくシンプルなデザインもよく似合うが、いっそ可愛らしい形のものも似合っているな。もちろん、男がつけても違和感のないデザインもヴィオラによく合っているし……」
弾んだ声で、殿下は次から次へと品物を当てがって吟味している。品物も素敵だが、殿下が楽しそうなのが何より嬉しい。
「ダメだ。どれも似合うから、これと勧められないぞ。ヴィオラは、可愛いからな」
「かわい……なっ、なにをおっしゃるんですっ」
あまりに自然な口ぶりに、面食らう。しかもいつもの口説くような口調ではなく、なんならちょっと困ったように言うものだから……心の底から出た、本音のように聞こえてしまう。
「そ……それにしても。女性の品物を選ぶのに、ずいぶん慣れていらっしゃるんですね! 色んな令嬢に、よくプレゼントなさるんでしょう?」
こんな軽口を叩いて、殿下にどう答えて欲しかったのか、自分でも分からない。ただ、照れてつい口走ってしまったのだ。
殿下は少し困ったように笑って、言い訳するように呟いた。

