私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 わたしだけの騎士に? 誰かに取られてしまう? 相手が王太子でなければ、「なに言ってんだコイツ」とでも口走っていただろう。
 
 いやもう、すんでのところで言いそうになった。「なに言ってんだ」の「な」までは口から出た。
 
 渡された花束からは、腹立つくらいいい匂いがする。
 
「な、なにか行き違いが? 私は、騎士団長として起用されたはずでは?」
 
 助けを求めるように宰相を見ても、「すべて殿下のおっしゃる通り」みたいな顔で頷くだけだ。
 
「ああ。キミの手腕をウワサにきいて、ぜひ我が国の団として迎えようと」
 
 王太子殿下は、私の手を握ったまま甘い声で言う。とりあえず、手は離してほしい。
 
「しかし……それと、私がキミに惹かれてしまったことは、別の話だ」
 
 私をまっすぐに見すえる瞳は、恋する若者のようにきらめいている。い、いや。知らんし。初対面だし。