私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 アレクシス殿下が難しい顔をするが、同時に少し困ったように、言いづらそうに言葉を選ぶ。
 
「城の倉庫を管理する係の使用人たちが、エルディシア公爵家の使いに無礼をはたらいたらしいのだ」
 
 あの、いけすかない公爵の家の者か……彼らが、城の倉庫に何の用だろう。
 
「倉庫番の使用人たちとは顔見知りで、とても良いやつらなんだ。公爵家の使いに、そんなに酷い態度を取るとも思えなくて」
 
「それで、殿下が自ら経緯を調査なさっているのですか?」
 
「そんな大袈裟なもんじゃない。まずは本人たちに、話を聴こうと思ったのだ。夜食でもつまみながら」
 
 両手に持った包みを、軽く振って見せる。
 
「もちろん倉庫番のやつらにも、落ち度があるのかもしれないけどな。いいやつらだが、口は悪いから」
 
 私は軽い衝撃を受けて、しばらくなんと言っていいか分からなかった。
 
 思ったより、ずっとずっと誠実な人柄ではないか。
 
 もはや、初対面の印象はなんだったのだろうとすら思える。むしろ、あの軽薄な振る舞いはなんだったのだろう。
 
「それは……とても、ご立派なことですね」
 
 心から関心していると、アレクシス殿下はちょっと意外そうな顔をした。
 
「そうか?」
 
 私がお世辞ではなく、本心から言っているのが伝わったのだろう。殿下は少しだけきょとんとしたあと、照れたように軽く笑った。
 
 不安から始まったアレクシス殿下との付き合いは、思ったよりも良好な関係で続けられるかもしれない。
 
 そう思うと、これからの生活がより楽しみになってきた。