私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 私は深く頷く。おそらく、王侯貴族の間では反発も多かっただろう。
 
 女の身で騎士団なんて、と、それだけで眉をひそめる者は多いはずだ。
 
「それなら、納得です。私どもが、お役に立てるでしょう」
 
 しかし、時代の流れは止められない。軍事力で作った国が平和な世で成長するには、新しいあり方を模索しなければならない。
 
 殿下は、それを分かっているから私を呼んだのだろう。
 
「もしもあのまま、キミが美しいから呼んだのだと伝えていたら。この話を蹴って、伯爵家に帰ってしまうつもりだったのか?」
 
 ドキッとした。試すような問いに、思わず体に力が入る。
 
 しかしやっぱり——嘘はつけなかった。
 
「はい。そうしたでしょう。悪態のひとつも、ついていたかもしれません」
 
 率直に答えた瞬間、王太子殿下は声をあげて笑った。からかうとも違う。バカにするとも違う。
 
 まるで、探していた仲間を見つけたような、からりとした気持ちのいい笑い声だった。
 
「キミを気に入った。これは本当だ」