その宰相は、今も鼻高々に祝辞を挙げている。
「アレクシス王太子殿下と、白百合騎士団団長ヴィオラ・ブライアント嬢との御婚約が、正式に調いました!」
アレクシスが、私に向かって手を延べる。私はその大きな手を取り、一段昇って彼の隣に立った。
「ヴィオラ嬢は目覚ましい才覚をもって騎士団を率い、我が国に新しい騎士の在り方を示されました。まさに、殿下のお側に立つにふさわしいお方——」
宰相がなんだか大袈裟に私を褒めている。私は、暖かい視線を注いでくれるアレクシスの顔をじっと見ていた。
彼が——アレクシスが、自分の隣にいて欲しいと、私を選んでくれたのだ。その事実が、ほんの少しずつ実感として湧いてきている気がする。
「ああ、なんということでございましょう! 我らが王家に、かくもめでたき日が訪れようとは!」
見つめ合う私たちをよそに、宰相はなんだか感極まり始めている。
「幼い頃より比類なき才を誇り、王国全土を照らしてこられたアレクシス殿下が、ついにこのような良縁を……実に、実に喜ばしい……!」
やれやれ、と、アレクシスが軽く肩をすくめる。私は吹き出しそうなのをやっとのことでこらえ、真面目な表情をなんとか保った。
「そ……それでは皆様、盛大なる祝意をもって、お二人をお迎えください!」
宰相が言葉を結ぶと、謁見の間は割れんばかりの拍手に揺れた。
楽団が、静かに音を鳴らし始める。
アレクシスと手を取り合い、私たちは大勢の目の前で広間の中央に進み出た。

