私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


「可愛い……オレだけのお姫さま……」
 
「寝言は寝て言ってください。まあ、否定はしませんけど」
 
「否定はしないんだ……」
 
 相手を可愛くてたまらないと思っているのは、お互いさまだ。私はお姫さまなんてガラではないが、アレクシスがそう呼びたいなら別に拒否はしない。
 
 しばらくアレクシスを突っついてふざけ合ったあと、彼はようやく体を起こした。
 
「ああ、よく寝た。ん、ありがとう」
 
 私が持ってきたガウンをのそのそと着て、ぱちぱちと目を瞬いたあとに、はっとして私の方を見遣る。
 
「あっ。ヴィオラ、体は大丈夫か? 痛まないか?」
 
「少し。でも、大したことはありません。鍛えてますしね」
 
 体の奥に残る痛みはそれなりにズキンとするが、この痛みさえ今は幸福だった。私だけが感じる、初めて結ばれた証だ。
 
「そうそう。これ、昨日渡し損ねたんですけど……」
 
 私は手を伸ばし、巾着を手繰り寄せた。中から包みを取り出す。ほいっとアレクシスに渡すと、彼はニコッとした。
 
「ん。なんだ? ありがとう」
 
 そっけない包装なので、酒のつまみなどだと思ったのだろう。中身が明らかになると、アレクシスははっとした顔をした。
 
「これは……」