私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


「ヴィオラ……愛している」
 
 限りなく優しい声が、耳元で歌うように囁かれる。気がついたら私は、涙を流していた。
 
「愛してる……アレクシス……!」
 
 叫ぶように告げたつもりの言葉は、途方もない熱に掠れて、キスと共に呑み込まれた。
 

アレクシスのたくましい肢体が、必死に私を求め続けている。あまりに力強い律動のエネルギーに、男性の身体の頑丈さを肌で味わう。
 
 私がぎゅっと目を閉じているのを見て、アレクシスはなだめるように額にキスを贈ってくれる。
 
 ついにひとつに繋がったあと、私の中で、愛の証が爆ぜるのを感じた。
 
 指を絡め、心を通わせ、遺伝子を交わす。この夜のことを、私は生涯忘れないだろう。

 それから、どれだけ長い時間、愛を交わし続けたのか。

 めくるめく睦み合いがついにゆっくりと止んだとき、部屋の中はうっすらと明るくなりはじめていた。
 
 火照りの残る身体を抱き締め合い、汗に湿った毛布にふたりで包まれながら、私たちはいつしか眠りに誘われていた。
 
 私を抱くアレクシスが、ほんの少し唇を開いて深い寝息を立てている。私はそれを微睡みの中で感じて、とろとろと目を閉じる。
 
 まぶたの裏に映った愛しいひとの寝顔は、宝物を抱いて微笑む少年のようだった。