私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 アレクシスの赤い一対の瞳が、真っ直ぐに私を射抜く。それは静かで、穏やかで、しかし消しがたく燃え盛る情熱を宿している。
 
「……っ」
 
 私もです、私もあなたが恋しかった。
 
 と、答えたいのに、うまく言葉が出てこない。頬が、耳が、首筋が、かっと燃えるように熱く火照っていく。
 
 アレクシスの大きな手のひらが、そっと私の鎖骨の辺りに触れた。そのまま手を滑らせ、肩や首の辺りの皮膚を撫でる。
 
 思わずぴくんと身を跳ねさせると、アレクシスは少し緊張したように表情を引き締め、もう一度柔らかく口づけをくれた。
 
 今度はもっと深く、甘く、より滑らかにとろけるような唇の重なり。
 
「んっ……!」
 
 熱い舌がゆっくりと伸べられたのを感じて、ぞくりと体内に戦慄が走った。これ以上はもう、平静を装うことすら出来ない予感がする。
 
「いいか……?」
 
 ちゅっと軽い音を立てて唇を離し、アレクシスは低い声で囁いた。
 
「止めないなら、抱くぞ」
 
 もう、抗えない——。
 
 抵抗できないのは、アレクシスの欲望に対してではない。私の欲望。彼を愛したい、愛されたいと叫ぶ心の底からの強い望みを、もう抑えられそうになかった。