私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 捕えられたエルディシア公爵は、観念したように罪を認めた。
 
 実行犯である襲撃者は公爵家から秘密裏に雇われた傭兵崩れであり、屋敷の捜索を行なった時点で捕えられていたのだ。
 
 他でもない、娘からの拒絶によって既に心を砕かれていた公爵に、しらを切り通す理由はなかった。
 
 セリーヌ嬢は、事件の参考人としてしばらく城に滞在することになった。一応取り調べを受けることになったが、周囲の人間は彼女に同情的だった。
 
 エルディシア公爵家とヴァルスタイン王家の縁談は、白紙に戻った。
 
 そしてすぐに、我がブライアント家に、アレクシス殿下から婚約の申し込みが届いた。
 
 両親ともに喜んで賛成し、両家の間で婚約の取り決めが速やかに行われた。
 
 私はというと、しばらくのあいだ休暇をもらえることとなった。結婚の準備がまだまだあったし、白百合騎士団の今後についても考えなければならない。
 
 城の庭で、マリエルとリーネがお祝いのお茶会を開いてくれた。
 
 なんとも美しい夏の朝。ガゼボの中は涼しい風が吹き抜け、庭いちめんの緑に青くなっていく空が映える。今日は、暑くなりそうだ。
 
 使用人はいない。飲み物も食べ物も、自分たちで調達した。大勢の給仕を引き連れて、人目を引きたくなかったのだ。
 
 濃く煮出した紅茶をボウルに入れて氷で満たし、ひんやりしたアイスティーを各々でカップに注いだ。
 
 食器やナプキンは、マリエルが揃えてくれた。さすがの手際良さでテーブルを整えていく様子は、実家での生活を思い出す。
 
 白いガーデンテーブルには、クッキーやマドレーヌなどのお菓子がたくさん並んでいる。リーネが、裕福な商家である実家から調達してくれた。
 
「なんだか、信じられないわ。ヴィオラがお嫁さんになるなんて」