「ごきげんよう。お招きくださり、どうもありがとうございます」
エルディシア公爵が、深々と礼をしながら厳かに挨拶する。
ここ数日ずっと城に滞在していたエルディシア公爵は、ご機嫌そのものだ。厳格ないかめしい顔はいつも通りだが、声は弾んでいる
私がいるのを見て、公爵は露骨にしかめっつらをした。公爵にとって、私はさぞかし目障りだっただろう。
しかし今日は、それも水に流すことにしたらしい。すぐにふいっと顔を背け、アレクシス殿下の方に向き直る。
「今日は他でもない。私の婚約について話があって来てもらった」
アレクシス殿下がこう切り出すと、場の雰囲気が一気に期待で膨らむようだった。もちろん、エルディシア公爵が目をギラつかせ始めたのは言うまでもない。
「そうでしょうとも。待ち侘びておりました」
顔を伏せるセリーヌ嬢とは対照的に、エルディシア公爵は誇らしげに胸を張る。
「その前に、明らかにしなければならないことがある。エルディシア公爵、お前の罪についてだ」
淡々と言い放ったアレクシス殿下の一声で、謁見の間は一瞬、時が止まったようになった。
「罪……? えー、なんのことだ?」
玉座にちょこなんと座っていた王が、戸惑ったように言った。王妃も首を傾げている。
「私に対する一連の襲撃事件。あれは、エルディシア公爵。お前が仕組んだことであると調べはついている」
きっぱりと言い切るアレクシス殿下の態度に、みな互いに顔を見合わせた。宰相と大臣は主たちの顔色を伺い、王と王妃も驚きを隠さない。
エルディシア公爵は一瞬、憎悪に歪み切った醜悪な表情を見せ——すぐに、慇懃無礼な笑みを貼りつけた。

