私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


「実は、私もさっきセリーヌ嬢から聞いたお話が……」

 かいつまんで、セリーヌ嬢からの告白について話す。殿下は黙って聞き、頷いた。
 
「まあ薄々、オレもあいつが怪しいとは思っていた。お前だってそうだろ?」
 
 頷くと、殿下はむしろ晴れやかな顔で、私の肩に手を置いた。
 
「じゃ、行くぞ。ついてくるなと言って、大人しく待っているお前じゃない。一緒に来るだろう?」
 
 よくご存知で、と、思わず笑い出しそうになってしまう。頷くと、アレクシス殿下は短く笑った。
 
「男としては、待っていろと言いたいところだが……ついてこい、ヴィオラ。これからお前と生きていきたいのだから」
 
「……はい!」
 
 胸に、熱い気持ちがどっと押し寄せる。信頼と愛情とを、同時に受け取った気がした。殿下は私がじっと待っている女だと思っていないし、そんな私を愛してくれたのだ。
 
 殿下は意気揚々と剣を取る私を満足げに眺め、微笑んで、さっとマントを羽織った。
 
 顔を隠したままひっそりと部屋を出て、忍び足で城の外へ向かう。
 
 夏の星空が広がり始めた夜に、私たちの影が石畳の上を駆けていった。