私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 さて、と。
 
 セリーヌ嬢と別れて部屋に一人になると、私はすんなりと冷静さを取り戻した。
 
 さっそく、エルディシア公爵が襲撃事件の黒幕である証拠を掴まなくては。
 
 もうすっかり夏の日は暮れて、辺りは暗くなっている。いつのまにか、夜になっていた。
 
 とりあえず、襲撃の現場に向かうべきだろう。公爵家の者が見張っている可能性もあるから、当然武装していかなくては。
 
 もし長時間の張り込みになるなら、携帯食料の準備も必要になる。幸い、自室に備蓄があるからそれを持っていくこととしよう。
 
 あとは、アレクシス殿下に、調べに行くのだと伝えなければ。きっと、ご本人も一緒に行きたがるだろう——
 
 コンコンコン、コンコンコン。
 
 よし、行くぞ! と張り切る殿下の顔が思い浮かんだ瞬間、忙しないノックの音が聞こえた。
 
 ドアを開けると、間髪入れずにアレクシス殿下が滑り込んでくる。腰には剣を携え、訓練用のような動きやすい服装だ。
 
「よし、行くぞ!」
 
「はい……って、どこに?」
 
 しまった、という顔で、殿下が動きを止める。そして髪を掻きやりながら、慎重に言葉を選んで言った。
 
「実はその……一連の襲撃事件は、エルディシア公爵が起こしたものではないかと疑っているのだ。で、その証拠を掴みに行きたい」
 
 驚いた。殿下の方でもそう考える理由があるのなら、ますます怪しそうだ。
 
「どういうことですか?」