私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 しばらくなだめ、お茶を出すと、セリーヌ嬢は少し落ち着かれたようだった。二人して椅子に腰掛けると、突貫のお茶会が始まった。
 
「ありがとう。ごめんなさいね、突然押しかけて……」

 ぱっちりした目はまだ潤んでいるが、セリーヌ嬢はかなり冷静に戻っていた。
 
「もう大丈夫ですよ。なにかあったのでしょう。ぜひ、話してください」
 
 私が促すと、セリーヌ嬢は小さいがはっきりした声で言った。
 
「アレクシス殿下とヴィオラさまを襲わせたのは……おそらく、私の父です」
 
 私はひとつ溜め息をつき、黙って先を促した。正直、なんとなくそんな気はしていた。
 
 セリーヌ嬢がつかえながらも、一所懸命に語り始める。
 
 アレクシス殿下が襲撃されたとの知らせを受け、父に命じられてすぐにお見舞いに来た。
 
 妙なことには、アレクシス殿下が襲撃された知らせを受ける前から、既にお見舞いの品は包まれていたらしい。
 
 そしてこれは、前回の襲撃のときも同様だった。まるで、父であるエルディシア公爵が、アレクシス殿下が襲われるのを知っていたかのように。
 
 その上、嬉しそうに、セリーヌ嬢へお見舞いを促したのだという。しっかり慰めて気に入られるように、優しい言葉をかけて良い娘だとアピールするように、と。
 
「傷心のアレクシス殿下につけ入れと言われているようで、嫌でしたわ。ですからせめて、心を込めてお見舞いをいたしました」
 
 少しでも意見を言おうものなら、父はたちまち激昂してしまう。ときには、暴力を振るわれることもあったという。

 不審な点はそれだけではない。