私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


 会議が終わる間際の、私を見る優しい目。あれを見ると、私を妻に迎えようとしてくれている意思は感じた。
 
 だが、セリーヌ嬢との婚姻はどうするのだろう。エルディシア公爵も、両陛下も、他の者も、みなセリーヌ嬢と婚約すると思っているはずだ。
 
 彼女自身も、アレクシス殿下のことはどう思っているのだろう。
 
 セリーヌ嬢と一緒に過ごしている限りは、アレクシス殿下を愛しているような素振りは見えなかった。
 
 尊敬や労りの念はたびたび口にされていたが、恋慕っているようにはとても思えない。
 
 とはいえ、セリーヌ嬢と婚約しないとなると、どのみち彼女には恥をかかせてしまうし——
 
「ヴィオラさま〜。どうしたんスか?」
 
 考え込んでいる私の顔を、リーネが覗き込む。片手に、巨大なパンを持って見せびらかしてきた。あまり心配してはいないようだ。
 
「いや。なんでもない」
 
 とっとと食事を始めたそうにしているリーネの無邪気な顔を見ていたら、ふっと気が緩んだ。
 
 リーネが持ってきてくれた品々で、早めの夕食を始めることにした。パンやチーズ、果物、野菜の煮込みもある。
 
 質素な食事だったが、ほっとする味で美味しくいただけた。きっと、二人がそばにいてくれたからだ。