「はいはい、乗った乗った!」
そう言って強引にバスに連れ込まれる。
「やっぱ香川くんと主井さんって付き合ってるのかなぁ…」
と、呟く声が聞こえる。
「そうかもぉ。 だってさ、超お似合いだしね!」
「美男美女で、目の保養になるよねー!」
と、キャーキャー騒いでいた。
お似合い…、お似合いかぁ。
「どうしたの?」
そう言う淳の声にハッとする。
昔の私でも、そう言ってもらえたのかな。
…多分、言われなかったんだろうな。
「…コラッ!」
バチンッ!と頬を叩かれる。
「い、痛いし!」
「ボーッとしてるから」
べ、別にボーッとしててもいいじゃん!と言おうと、口をパクパクさせた。
「ネガティブな顔してたから」
「へっ!?」
「昔の事、思い出してたんじゃないの?」
図星、なんだけど。
なんで分かっちゃうんだろう。
私、顔に出るのかな?


