修学旅行当日。
制服を着て、鞄に少しの私服をつめて、あとは必要なものだけ。
…っていっても、やっぱり女の子だから、どうしても荷物は多くなっちゃう。
大きな鞄ふたつと、小さな鞄ひとつ。
「持とうか?」
家を出たところで、恋がそう言ってくれた。
恋は少し大きめな鞄一個だけ。
…制服で行動するのかな?
「ううん、大丈夫! ありがとう!」
「いいけど。 …ねえ、本当に淳と自由行動するの?」
「え?うん、そのつもりだけど…」
ふーん、と言って背中を向ける恋。
「なに? 私と一緒に行動したかったの?」
「違うし。 心配なだけだよ」
心配?心配って、なに?
「あ! 私の首筋の心配…」
あいつ、スキ見せたらすぐ嗅いでくるもんなぁ。
「それもだけど。 佐藤さん、くやしがってるらしいじゃん」
「え?」
「淳のファンクラブの佐藤さん」
あ…忘れてた。


