「あ、消しゴムが…」


コロコロ、と転がる消しゴム。


それを取ろうとする陸さんが、ふと、私の足に手を置いていた。


「あ、ごめん」


「なっ、何触ってんだコラ!」


大声を出してしまい、周りの皆の視線が集まる。


私は色んな方向にペコペコと礼をした。


「あはは、ごめん。 わざとだから。 許して」


「わ、わざとなんかい…」


ふるふると腕を震わせる。


多分そーじゃないかって思ってたけど!


「ごめんごめん、ついテンションあがっちゃって…」


図書館で勉強するのって…そんなにテンション上がることなのかな。


「主井さんが一緒、だからだよ」


爽やかに笑って、言う生徒会長。


私の顔がカーッと赤くなる。


一時期、ほんとに一時期だけど、憧れていた人だもん。


そんな事言われたら…ねえ?


「今日はありがとう」


そう言って、今日のデートは終わった。