「痴漢防止のためにも、握っててくださいよ。 ねっ!」


「そう、だね。 私の平手防止にもね」


ぎゅ、と握られた手。


…うわ、なんかあったかい。


急になんか気恥ずかしくなってきた。


ハタから見れば、仲のいい女の子同士にも見えるかもしれないけど。
やっぱ翔ちゃんは男の子なんだなあ、手が、なんかゴツゴツしてる。


「じゃ、愛先輩。 今日はありがとうございました!」


「ううん、私も…楽しかったよ。」


「マジっすか! じゃあ…これはお土産っす!」


翔ちゃんは頭に付いてるハートの髪ゴムを取って、私の髪の毛にくくりつけた。


「やっぱり、愛先輩の方が似合ってますよ! それじゃ、また!」


もしかして、はじめから私に渡すつもりで…?


…でも。


「シュシュは、自分用なんだ」


やっぱり、翔ちゃんはそっちの気があるんじゃ…、と思ってしまった。