「ちょっとー。 愛先輩聞いてます?」


「あはは、あんまり…いや、聞いてたよ?」


嘘ついちゃった。
それにしてもほんと、女の子みたいだよなあ。


喫茶店を出て、街に出る。ガードレールの無い狭い道路で、車線側に出る翔ちゃん。


…やっぱ男の子、なんだな。


「ねえ、愛先輩。 手、繋いでいいっすか?」


「へ!? て、手ぇ?」


「そうですよ。 ダメですか?」


とか聞いてきつつ、手を伸ばしてくる…


って、アレ?手、通り過ぎたけど?


その瞬間、お尻に違和感が。


「あ、やってしまいました。」


「や…やってしまいましたじゃ、ないわー!」


バチーン、と平手をかましてしまった。


…や、やっちゃったー!!


「ご、ごごごごめん! 痛かった?」


「いや、俺こそすみません! つい…」


翔ちゃんはニコッと笑った。