「本名は、香川淳くん。 多分、学園で1位、2位を争うレベルの男子だよ!」


香川淳(かがわじゅん)くんねぇ…。


「ちなみに争ってるのは生徒会長! 私は生徒会長の方がタイプなんだよなー」


「生徒会長…?どんな人だっけ?」


「えーっとね…。 あ、恋くん。 もういいの?」


話の途中で、恋が戻ってきた。
まあ、くだらない話だからいいんだけど。


「愛、生徒会長の顔くらい覚えておきなよ。」


と、恋に言われてしまった。
…聞いてたのね。


「だって、人の顔と名前覚えるの苦手なんだもーん。」


恋が、ハアッっとはめ息をつく。
そりゃ、恋は頭いいからすぐ覚えちゃうんだろうけど。


「うちの生徒会長はね、中等部でも生徒会長やってたんだ。 中学の頃からすげー人気だったんだよ。 女子はもちろん、男子からもね」


「へえー、そうなんだ。 人気者なんだ」


「生徒会長の名前は足利陸(あしかがりく)。 覚えときなよ?」


恋に頭をポンポンと叩かれる。


う~ん…。覚えられるかなあ…。
興味あったり、インパクトあると覚えやすいんだけどなぁ。


「あとねー! 中等部の沢尻翔(さわじりしょう)くんって子も可愛いの! 今年、高等部に上がってくるんだってー! 楽しみー!」


あー、もう。


一気に色んな人の話されると、頭こんがらがっちゃう!
私はパンクしそうな髪の毛をくしゃくしゃとかいた。


下駄箱で靴を履き替えると、新しいクラスが書かれた紙をもらう。
目を通すも、分かる名前があまり無い。


「恋と遥が一緒のクラスで良かったー! 他の子、まったく知らないよー!」


「愛…前一緒のクラスだった子結構いるよ?」


私は聞いていない振りをして、教室に向かった。