「三年の鈴木さんが、生徒会長にゾッコンで、同じクラスの佐藤さんが香川くんのファンなの。 で、一年の山田さんが、翔くんの事が好きなんだ。」


「ふ、ふーん。 どうでもいいけど」


「どうでもよくないよー! 愛の敵…っていうか、ライバルなんだよ!?」


…ラ、ライバル!?


「やっ、やめてよ! 私は別にあいつらなんてー…」


「いっとくけど、生徒会長ファンの私も愛の敵になるんだからねっ!」


頭を何か固いもので叩かれた感覚がした。


…は、遥も?
そういえば、生徒会長が好きって言ってたもんな。


「うらやましい! 生徒会長まで愛の事好きになるなんて! 香川くんと翔くんまではまだ良かったけど、生徒会長までー…!」


「は、遥…」


遥はその場に体育座りをした。
こうゆう時、なんと声をかければいいのか。


「…どうしよう、恋~」


「どうしよーもないんじゃない?」


そんなー!


変態や親衛隊はどうでもいいけど、遥に嫌われるのだけは嫌だよー!



「私は遥が好きだからっ!」


「へ? 何いきなり言い出すの、愛」


遥はキョトンとした顔をして、私の方を見る。
遥の隣に、体育座りで座る。


「だから、敵なんて言わないでよ」


「愛…」


キョトンとした遥の顔は笑顔に変わった。


「そうだね、私も愛が好きだもん。 好きな人が愛を好きなだけだもんね。 愛は何も悪くないのに…暴走しちゃってゴメン」


「ううん、気にしないで」


遥が許してくれたのは良かったけど、これからやっかいな事になりそうだなあ。


「ドンマイ、愛」


と、恋が私の肩を叩く。


…た、他人事ですか!?