学校へは、徒歩10分くらいの距離なんだけど…坂が多い。


「シ…シヌ」


私は、せえぜえ言って、恋の腕を掴む。
恋はちょっと迷惑そうにしてるけど、そのまま私を引っ張ってくれた。


「愛、恋くん、おはよう!」


そう言って挨拶をしてきたのは、友達の友理遥(ともりはるか)だった。


「おはよう、遥!」


「おふぁよう、はるか…ふぁ。」


「ちょっと、どーしたのよ、恋くん。 すっごく眠そうよー」


「徹夜で香水の調合してくれたんだ。 私の分」


私は眠そうな恋の肩をポンポン、と叩いた。
私は片腕だけ腕まくりをして遥に手首を匂いをかがせると、「あ、いい匂い」と呟く。


「あ、淳」


恋はそう言うと、場を離れた。


「恋くんって、香川くんと仲良いんだー。」


遥がそう言う。


…誰?香川くんって。
私は眉間にシワを寄せて遥を見た。


「愛。 もしかして、香川くんの事知らないの?」


私はウンウン、と頷いた。


「香川くんっていったら、学園のアイドルじゃん! 去年、ミスターコンで優勝したじゃん!」


「み、みすたーこん?」


「ミスコンの男版だよ! 愛はミスコン出てたから知らないだろうけど、有名だよ! 彼」


ふ、ふ~ん…。そうなんだ。