教室につくと、恋が自分の机に足をのっけて、椅子をグラグラ動かしてた。


「どうしたの、恋。 私に何か用だって?」


「あ、そうそう」


恋は椅子を動かすのをとめて、私に目線を移した。


「あの沢尻翔くんって子、あんまり近づかないほうがいいかも…」


「へ? なんで?」


私がそう言うと、恋は、うーん…と腕を組んだ。


あんなに可愛くっていい子なのに。
なんで近付いちゃ駄目なんだろ?


「なんかね、女の子と手当たり次第に付きあっては振ってるって聞いたよ。 もしかしたら、愛にそうゆう目的で近づいてるかも…」


沢尻くんが?


ま、まさか…。
あんないい子なのに?


手当たり次第!?


「愛って変な男に好かれる事、多いよね」


と恋がボソッと言う。変態をチラリと見て。


「ちょ、ちょっと! この変態と沢尻くんを一緒にしないでよ! あの子は、いい子なんだから!」


「そうなの?」


「そうなの! なんなら私が本人に聞いてくるから!」


そう言って教室を飛び出した。
あきれ顔の恋を無視して、一年の教室に向かう。