「美味しい!」
ひとつ食べてみたら、すごい美味しかった!
私好みの味!
「そっか、そりゃ良かった」
スンスンと鼻を動かす淳。
「聞きたくないけど何やってんの?」
「え?いやこの柿の葉と寿司のにおいを堪能…」
「やっぱ変態よね、あんたって」
鼻で笑ってそう言う。
「いや、するでしょ! 洗ったあとのコップのにおいとか! 普通かぐでしょ!」
「かがないよ! 無臭じゃん!」
「無臭かどうかのチェックだよ!」
「意味分かんない!」
何言ってんの、コイツ。
そういえば、この自由行動って、あんまり時間ないんだっけ。
15時に集まって、また京都に戻って新幹線に乗るんだった。
「ねえ、淳」
「ん?」
「あのさ、もっかいあそこ行こうよ」
「あそこって?」
「東大寺! その付近でもいいからさ!」
「いいけど、なんで?」
いいから行くよ!と言って、先を歩いた。