「どこ行きたい?」


そう言う淳に、私は『どこでも』と答えてしまった。


「奈良の観光名所って言ったら東大寺しか思いつかないんだけど、ちょっと行きたいとこあるんだけど、ついてきてもらってもいい?」


「いいけど」


どこに行くんだろう?
と思いつつついていくと、そこは小さなお店だった。


「柿の葉寿司?」


そこは、柿の葉寿司というお土産が売っているお店だった。


「そう、お寿司が柿の葉にくるんであるから柿の葉寿司って言うんだって。 そのまんまだけど。 知り合いが、美味しいって言ってたから一度食べてみたいなって思って」


「へー…」


確かに、すごい美味しそう。


「恋、こうゆうの好きそうだなー」


私がそう呟くと。


「じゃ、3箱下さい」


と、淳が言う。


「なんで3箱?」


「俺と愛と、恋の分だよ」


「え!? いいよ、払うよ!」


「いいって、今日のお礼!」


…お礼なら、私だって…。


「じゃあ、あとでなんかオゴる」


「うん、楽しみにしてる」


そう言って柿の葉寿司を買う淳。