「殴られたっていい!お願いだっ!!きみの匂いをこの瓶に詰めさせてくれ!!」


「来んな!近寄んなー!!」


私は泣き叫んで、彼から逃げた。
彼はどこから出したのか分からない大きな瓶を両手で持って追いかけてくる。


「ぎゃああ!!本気で変態だ、コイツー!!」


「おね、お願いだー!!」


…………バキッ!!


またまた鈍い音が鳴った。振り向くと、変態が倒れていた。


その少し先に、恋が腕組みしながら、片足を出していた。
この変態は、恋の足に足をひっかけて、転んだのね、きっと!


「こ、恋!なんなの、この変態!」


私はガバッと恋に抱き付き、泣いた。


「実はコイツ、極度の匂いフェチなんだよ」


「…匂いフェチ?」


「そう、好みの香りがあると、瓶につめて集めるんだって。 最近は俺の作った香水で我慢してたはずなんだけどな…」


最近、恋が香水作りに没頭してたのは、コイツが原因だったの!?


変態がムクリと起き上がった。


「理想の匂いに巡りあえた! 主井さん! 匂いをくれ!」


「ぬあぁ! 近付くなー! この変態―っ!!」


恋をはさんで、ギャーギャーと叫ぶ。


「じゃあ、むしろ付き合ってください!」


「意味分かんない!」


まぁまぁと、なだめる恋。
私達が3人揃って先生に見つかったのは言うまでも無い。