「起きろっ!!時間だぞ。」

体を揺さぶられて、現実へと無理やり引き戻される。


「ん~…。」

寝ぼけ眼で、時計に目をやると、体中に衝撃が走る。

「何でもっと早く起こしてくれないの!?会社に遅刻しちゃうじゃない!!」


「ちゃんと起きないお前が悪い。それより、また魘されてたぞ?大丈夫か?」


慌てて身仕度をする私に、自分は悠長に食事しながら、そう問いかける。


「…大丈夫よ。また変な夢でも見たんでしょ。」


まるで他人事のように答える私。


「そうか?最近毎晩魘されてるみたいだからさ…疲れてるんじゃないか?」



「ありがとう。大丈夫よ。もう少ししたら仕事もきっと落ち着くから。それじゃあ、私先に行くね。」

ドタドタと走り、玄関に向かう。


「あっ、待って!!これ、ユリの分のお弁当。」

靴を履きかけた私に、お弁当が入った袋を渡してくれた。


「ありがとう、マサ。」


「あんま無理するなよ。」

心配そうな顔を隠せない彼に、「大丈夫。」と言い聞かせ、家を出た。