燃える煙突。

「ママ~お空にデッカイ鳥さんがいるよ~?」


果てしなく続く、野原に真っ直ぐな道。

真っ青な空に眩しい太陽。
小さな白い雲にそよぐ風。


私が覚えてる、その場所はいつも穏やかで温かかった。




そう、あれは4歳の頃だ。


「わぁ綺麗な飛行機雲ね。」

目を細め遠い空を見上げた。


「ひこーきぐも?」



「お空にいるデッカイ魚さんは、飛行機って言うのよ。」


「あれが、ひこーきっていうんだ!!すごーい!!」

私は空に手を伸ばし、キャッキャとはしゃいだ。



「みんなあの飛ぶ魚に乗って、色々な所に出掛けるの。」



「とぶ魚ー?あれは鳥さんだよ!!」



「違うのよ。鳥さんは最初から飛べるでしょ?
あれは、魚さんが頑張って飛べるようになったのよ。」



「へ~そうなんだ!!ユリもがんばればとべるかな!?」



「そうね。百合菜も飛べる日がきっと来るわよ。」


そう言って、私の頭を優しく撫で微笑む。


その手はとても温かかった。




決して色褪せる事のない記憶。

出来るなら、もう一度あの頃に戻りたい。

優しく抱き締めてもらいたい。



叶わぬ夢は私の思いをいつだって強くさせる。