ザッ、ザッ、ザッ。
白銀の世界に、足音が響く。
ただし、私の足音ではない。
「……あの、フロスティ様? 流石に過保護すぎません?」
「黙って乗っていろ。雪が深い。君の短い足では埋まってしまう」
「短いって言いました!? これでも平均的レディの脚長はあるんですけど!」
私は今、辺境伯様の背中に背負われていた。
いわゆる、おんぶだ。
私の視界は高いし、足は冷たくないし、フロスティ様にくっついているのでポカポカだ。
まさにVIP待遇。
けれど、絵面としてはどうなんだろう。
いい歳した元聖女が、イケメン辺境伯におんぶされて雪山登山なんて。
「降りなくていいんですか? 私、こう見えても体力には自信が……」
「ダメだ。転んで怪我でもされたら、誰が私の晩酌のつまみを作るんだ」
もっともらしい理由をつけているが、彼の手は私の太ももをガッチリとホールドして離さない。
ちょっと、いや、かなり……はずかしい……。
食べすぎて、若干、その……適度に柔らかさを増している気もするし?
今日の目的地は、領地の奥深くにある幻の水源だ。
なぜそんな場所に向かっているのか。
理由は一つ。
――究極の蒸留酒を作るため!
ジン、ウォッカ、ウイスキー。
これらを作るには、不純物のない、クリスタルのように澄んだ水が不可欠なのだ。
シードルやワインもいいけれど、そろそろガツンとくる強いお酒が飲みたい。
その一心で、私は渋る旦那様を説得し、この雪山ツアーへと連れ出したのだった。
「もう少しだ。しっかり捕まっていろ」
フロスティ様が魔法を使う。
彼の歩く先々で、深い雪がモーゼの海割りのように左右に退いていく。
相変わらずのチート魔法だ。
除雪車がいらないなんて、雪国最強の領主様である。
私は彼の首に腕を回し、その広い背中に頬を寄せた。
銀髪から、冬の空気のような冷たくて澄んだ香りがする。
(……ま、楽ちんだからいっか)
私は遠慮なく、彼の背中でくつろぐことにした。
白銀の世界に、足音が響く。
ただし、私の足音ではない。
「……あの、フロスティ様? 流石に過保護すぎません?」
「黙って乗っていろ。雪が深い。君の短い足では埋まってしまう」
「短いって言いました!? これでも平均的レディの脚長はあるんですけど!」
私は今、辺境伯様の背中に背負われていた。
いわゆる、おんぶだ。
私の視界は高いし、足は冷たくないし、フロスティ様にくっついているのでポカポカだ。
まさにVIP待遇。
けれど、絵面としてはどうなんだろう。
いい歳した元聖女が、イケメン辺境伯におんぶされて雪山登山なんて。
「降りなくていいんですか? 私、こう見えても体力には自信が……」
「ダメだ。転んで怪我でもされたら、誰が私の晩酌のつまみを作るんだ」
もっともらしい理由をつけているが、彼の手は私の太ももをガッチリとホールドして離さない。
ちょっと、いや、かなり……はずかしい……。
食べすぎて、若干、その……適度に柔らかさを増している気もするし?
今日の目的地は、領地の奥深くにある幻の水源だ。
なぜそんな場所に向かっているのか。
理由は一つ。
――究極の蒸留酒を作るため!
ジン、ウォッカ、ウイスキー。
これらを作るには、不純物のない、クリスタルのように澄んだ水が不可欠なのだ。
シードルやワインもいいけれど、そろそろガツンとくる強いお酒が飲みたい。
その一心で、私は渋る旦那様を説得し、この雪山ツアーへと連れ出したのだった。
「もう少しだ。しっかり捕まっていろ」
フロスティ様が魔法を使う。
彼の歩く先々で、深い雪がモーゼの海割りのように左右に退いていく。
相変わらずのチート魔法だ。
除雪車がいらないなんて、雪国最強の領主様である。
私は彼の首に腕を回し、その広い背中に頬を寄せた。
銀髪から、冬の空気のような冷たくて澄んだ香りがする。
(……ま、楽ちんだからいっか)
私は遠慮なく、彼の背中でくつろぐことにした。
