稼いだお金は、封も切られないまま、義母の引き出しに消えた。
それでも私は、ここを出る日を疑っていなかった。
そんな私の前に、魔法使いは現れた。
「シンデレラ、さぁ王子のもとへ向かいなさい。もうあなたを虐げる人はいませんよ。」
魔法で仕立てられたドレス、宝石のようなガラスの靴。
かぼちゃの馬車に乗って城へ向かい、
「そこのお嬢様。私と踊っていただけますか?」
「……!はいっ!」
王子様と踊り、笑いあった。
ーここまではすべてうまくいっていたのに。
いきなり「ドン!」と爆発の音が聞こえた。
悲鳴が重なり、誰かが私にぶつかって倒れた。
「全員、構えろ!」
王子様が兵隊に向かって叫ぶ。
「おいシンデレラァ!!」
煙の中からゆっくりと歩いてきたのは
「お義母さんとお義姉ちゃん……!?」
魔法使いのおばさんが拘束してるはずじゃーー
あれ、義姉が、一人足りない……?
「あのおばさん鬱陶しかったなぁ……。」
声のした方をみると、漂うように揺れながら、全身真っ黒な女の人が空中に浮いていた。
「誰……?!」
「えぇ~めんどくさ~い。とりあえず、邪魔させてもらうわ。」
彼女は私を見て、楽しそうに口元を歪めた。
「なんでこんなーー」
「それより、よそ見していていいの?」
魔女が意味ありげに、私の背後へと視線を送る。
「え?」
背後から、鋭い痛みが走り、息が詰まった。
「お、義姉ちゃ……ん……?!」
先ほど姿が見えなかった、もう1人の義姉が息を荒々しく吐く。
「あんたがいけないの。ずっと私たちの言うとおりにしていればよかったのにねぇ!!」
立っていられず、膝から崩れ落ちる。
体が、思うように動かない。
「シンデレラ!」
王子様が私に叫ぶ。
倒れこんだ私を見下すようにして、
「あんたさえ、あんたさえいなければ……!」
キラッと光を反射させ、義姉がもう一歩こちらへ踏み出した。
ーそういうことか……。
私がお義姉ちゃんよりも幸せになろうとしたから。
私が、このまま死ねばーー
あぁ、
自由になりたかったなぁ……。
でも、もういっか。
理不尽なことしかなかったけど、今こうして、
パンを笑顔で買ってくれた、あなたに、会えた。
あのときから私はー……。
ママ、パパ。早く合流しちゃってごめん。
そう覚悟して目を閉じた瞬間、誰かの体重が覆いかぶさった。
数秒した後、ナイフの落ちる音がして、
「う、そよ。そんな……、うそ……。うそだ。うそだうそだ!!!!」
義姉の泣き声に近い声がした。
「王子!!」
「すぐに救急班を呼べ!!」
なにが、起こってるの……?
恐る恐る目を開ける。
「え……?」
目の前には、口から血を流しながら私の顔を見ている王子様がいた。
「……どうして、私を、かばったんですか……?!」
「……なんで……泣いてるんですか……」
「死んじゃ、ダメです……!」
「……優しい、ですね」
私の涙を王子様が拭う。
そして体の力が抜けたように、私の横に倒れた。
「……僕にも、分からない……」
そう言って私の顔に手を添える。
「最後に、教えてください……。あなたの、ほんとうの、名前は……?」
「私の、名前……」
『ごめんね、パパと力を合わせて過ごしてねー』
『パパはずっと、大好きだよー』
そうだ、私はー
「エマ……です……。」
「……いい名前、だ。」
もう痛みすら感じない。
「王子様……、私は……。」
もう、何も聞こえない。
何も見えない。
真っ暗な闇の中に、私は、おちていった。
それでも私は、ここを出る日を疑っていなかった。
そんな私の前に、魔法使いは現れた。
「シンデレラ、さぁ王子のもとへ向かいなさい。もうあなたを虐げる人はいませんよ。」
魔法で仕立てられたドレス、宝石のようなガラスの靴。
かぼちゃの馬車に乗って城へ向かい、
「そこのお嬢様。私と踊っていただけますか?」
「……!はいっ!」
王子様と踊り、笑いあった。
ーここまではすべてうまくいっていたのに。
いきなり「ドン!」と爆発の音が聞こえた。
悲鳴が重なり、誰かが私にぶつかって倒れた。
「全員、構えろ!」
王子様が兵隊に向かって叫ぶ。
「おいシンデレラァ!!」
煙の中からゆっくりと歩いてきたのは
「お義母さんとお義姉ちゃん……!?」
魔法使いのおばさんが拘束してるはずじゃーー
あれ、義姉が、一人足りない……?
「あのおばさん鬱陶しかったなぁ……。」
声のした方をみると、漂うように揺れながら、全身真っ黒な女の人が空中に浮いていた。
「誰……?!」
「えぇ~めんどくさ~い。とりあえず、邪魔させてもらうわ。」
彼女は私を見て、楽しそうに口元を歪めた。
「なんでこんなーー」
「それより、よそ見していていいの?」
魔女が意味ありげに、私の背後へと視線を送る。
「え?」
背後から、鋭い痛みが走り、息が詰まった。
「お、義姉ちゃ……ん……?!」
先ほど姿が見えなかった、もう1人の義姉が息を荒々しく吐く。
「あんたがいけないの。ずっと私たちの言うとおりにしていればよかったのにねぇ!!」
立っていられず、膝から崩れ落ちる。
体が、思うように動かない。
「シンデレラ!」
王子様が私に叫ぶ。
倒れこんだ私を見下すようにして、
「あんたさえ、あんたさえいなければ……!」
キラッと光を反射させ、義姉がもう一歩こちらへ踏み出した。
ーそういうことか……。
私がお義姉ちゃんよりも幸せになろうとしたから。
私が、このまま死ねばーー
あぁ、
自由になりたかったなぁ……。
でも、もういっか。
理不尽なことしかなかったけど、今こうして、
パンを笑顔で買ってくれた、あなたに、会えた。
あのときから私はー……。
ママ、パパ。早く合流しちゃってごめん。
そう覚悟して目を閉じた瞬間、誰かの体重が覆いかぶさった。
数秒した後、ナイフの落ちる音がして、
「う、そよ。そんな……、うそ……。うそだ。うそだうそだ!!!!」
義姉の泣き声に近い声がした。
「王子!!」
「すぐに救急班を呼べ!!」
なにが、起こってるの……?
恐る恐る目を開ける。
「え……?」
目の前には、口から血を流しながら私の顔を見ている王子様がいた。
「……どうして、私を、かばったんですか……?!」
「……なんで……泣いてるんですか……」
「死んじゃ、ダメです……!」
「……優しい、ですね」
私の涙を王子様が拭う。
そして体の力が抜けたように、私の横に倒れた。
「……僕にも、分からない……」
そう言って私の顔に手を添える。
「最後に、教えてください……。あなたの、ほんとうの、名前は……?」
「私の、名前……」
『ごめんね、パパと力を合わせて過ごしてねー』
『パパはずっと、大好きだよー』
そうだ、私はー
「エマ……です……。」
「……いい名前、だ。」
もう痛みすら感じない。
「王子様……、私は……。」
もう、何も聞こえない。
何も見えない。
真っ暗な闇の中に、私は、おちていった。



