しらず駅

 都市伝説であるしらず駅にあるという人間リサイクル協会。
 人間リサイクル協会というものが出てきたと、ゆうかが検索したスマホを見せた。

「でもこの住所、隣町だよ。最寄り駅はしらず駅だって。ちょっと見に行ってみない?」
「知らない名前の駅だね。見るだけならば……」

 こわい話が好きなあやは都市伝説好きのゆうかと相談をはじめた。
 ゆうかは好奇心旺盛で、すぐ行動するところがいいところでもある。
 電車で一駅乗って、少し歩くと、人間リサイクル協会という名前があった。
 ボロボロの建物で、看板も壊れていた。夕方なので、看板に電気がついたのだが、電球も壊れているらしく、点滅している様子がとても不気味だった。

「行ってみよう」
「なんかこわくない? だって、この町に来てから人に全然会わないし」

「こんにちはー、誰かいませんか?」
「すみませーん」

 中から返事がない。やはりこんな古い建物は誰もいないのだろう。でも、鍵はあいており、人がずっと出入りしていないという感じでもなかった。

 ぎぎーっとドアをあけて部屋に入る。

「誰だい?」
 不気味な歳をとったおばあさんがこちらをにらんでいた。暗闇で髪をぼさぼさにしたおばあさんがいるだけでホラー感が満載だ。

「あんたたち、よそものかい? 外に出ると危険だ。次の電車が来る時間になるまでここにいたほうがいい」

 スマホの電源を入れるのだが、電波が入らず時刻を調べることができない。
「ここはたまにしか電車は通らない。今日は特別だから、次は18時の電車だね。ここに来るまで誰かに会ったかい?」
「それが誰もいなくて、この町には人があまりいないんでしょうか?」
「この町の人間はよそ者がいると帰さずに町に閉じ込めてしまうのさ」
「まさか」
「冗談ではないよ。私はそういった人間のリサイクルをしなければいけなくなる。それは極力避けたいのさ」

「この町の名前、隣のはずなのに初耳なんです」
「そっちの地図にはない町だから、それはそうだろうね」

 その後、来た道を線路沿いに逃げ帰った。
 このまま誰かに見つかったらきっと帰れなくなってしまうだろうから。
 後日、二人が何度検索しても「しらず駅」は存在していないことがわかった。