「大丈夫…!どこも怪我してないよ」
心配をかけたくなくて、精一杯明るい声を出す。
実際には全然ピンピンしてないけど、そんなこと言ったら叶兎くんにもっと心配をかけてしまう。
《…今どこにいる?》
「大学の医務室で、ちょっと休ませてもらってる!」
《分かった。迎えに行くから、そこにいて》
「分かった、待ってるね」と言う間もなく、電話の向こうで凄まじい車のエンジンの回転音が響き、通話は切れた。
……また無茶したって、怒られるかも。
スマホを胸に抱き、ふうっと長い息を吐き出す。
本部からこの大学までは車を飛ばしてもしばらく時間はかかるだろう。
静まり返った医務室で、私は隣のベッドへ視線を向ける。
カチャリと小さな音がして、カーテンの隙間から琥珀が顔を出した。
左肩には白い包帯が厳重に巻かれていて、医務官に手当てしてもらったばかりのようで、そわそわと肩を動かしていた。
けれど、目があった途端すぐにいつもの人懐っこい笑みを浮かべる。
「今の、彼氏?」
にっと笑って、探るような視線を向けてきた。
さっきの電話、バッチリ聞こえていたらしい。

