「……そこのお前も、医務室行け。」
「俺はいい、これぐらい──」
「いいから行け。どっちも連れてく。」
九条くんの声には拒絶を許さない響きがあった。
彼は手際よく本部に事後処理を任せ、私たち二人を支えるようにして学食を後にした。
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大学の医務室は簡素なベッドが二つ並んでいた。
カーテンで仕切られた向こうに琥珀がいる。
九条くんが手配してくれたらしい。白衣を着た医務官がてきぱきと処置を進めている。
「あなたは少し休めば大丈夫。ただ、無理はしないでね。」
「…はい。ありがとうございます」
実際、三人同時に無効化させた代償はじわじわと私の体力を削り取っていて、指先一つ動かすのも億劫なほど体は鉛のように重かった。
その時、ポケットの中でスマホが震えてビクリと体が跳ねる。
画面を見ると、『叶兎くん』からの着信。鼓動が一気に早くなった。
「……もしもし?」
おそるおそる通話ボタンを押すと、彼の切迫した空気が伝わってきた。
《……胡桃。無事……!?本部に連絡あった、大学で暴走があったって…!》
声はいつもの冷静さを保っていたが、その奥に隠しきれない焦りがあって。
言葉の切り方が普段より荒く、呼吸も少し乱れている。

