もう迷っている暇はない。
私は目を閉じて精神を集中させる
徐々に周りの音が遠くなる。九条くんが抑えつけている学生、その後ろから来ているもう一人。二つの暴走の波が肌にびりびりと伝わってくる。
——大丈夫。前もできた。
力が体の奥から湧き上がってきた。両手を前に翳すと淡い光が指先から広がり、暴走した二人の学生を包み込んでいく。波が凪いでいくように、荒れ狂っていた力の波動が静まっていった。
「……ぁ……」
一人、また一人と、学生たちが糸が切れたように倒れた。荒い呼吸だけが残る。意識は失っているが、暴走は止まっていた。
……でき、た。
「……は、すご。」
琥珀が呆然と呟いた直後、私の膝から力が抜けた。
全身を襲う、鉛のような倦怠感。
視界がぐらりと回り、世界が反転する。
「——っと。」
倒れかけた私を九条くんが片手で支えた。小柄な体に似合わない反射速度だった。
「……、無茶すんな。3人同時は負担がでかいに決まってる。」
「胡桃!」
琥珀も駆け寄ってきたが、その足取りもどこかぎこちない。左肩を庇っているのがバレバレだった。

