総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




その時、学食の照明が不自然に明滅し、バチバチと不吉な音を立てた。

同時に近くのテーブルで食器ががちゃんと音を立てる。学生の一人が頭を抱えてうずくまった。


「…!」


空気が変わった。九条くんの表情が一瞬で切り替わる。

うずくまる学生に駆け寄った直後、別の場所でもう一人、三人目の学生が椅子から転げ落ちた。食堂が悲鳴と混乱で騒然となる。



「能力暴走……三人同時?」



琥珀がぼそっと呟いた。

暴走した学生の一人が腕から衝撃波のようなものを放った。近くの机が吹き飛び、食器が散乱する。


「胡桃こっち!」

「わっ、」


琥珀に腕を強く引かれ、太い柱の影に身を隠す。



「……っ、本部に連絡を——」



無線に手を伸ばした九条くんだったが、二人目が背後から襲いかかってきた。咄嗟に身を捻って躱すが、制服の袖が裂ける。



「……胡桃、ここで待ってて。俺ちょっと…」

「待って、わたしなら──」



混乱の中、琥珀が動こうとした瞬間、三人目がこちらに向かって突進してきた。



「——っ!」



琥珀が咄嗟に私を庇うように前に出た。暴走学生の拳が琥珀の肩に直撃し、体ごと吹き飛ばされる。二人もつれて床に倒れ込んだ。