向かったのは学食棟の二階。
昼時を少し過ぎていたおかげで席は空いていて、窓際の二人掛けにすんなり座れた。
琥珀が運んできたカレーからは、食欲をそそるスパイスの香りが立ち上っている。
「はい、辛さ普通ね。……あ、もしかして辛いのダメだった?」
「平気だよ、ありがとう」
一口食べると、じんわりと温かさが広がっていく。
……というか私、なんで琥珀とランチしてるんだ。
なんだかんだ、いつも彼のペースに巻き込まれてしまう。
悪い人ではないんだけど…。
その捉えどころのなさに、どこか不安を拭いきれない自分もいた。
しばらく二人で食べていると、突然学食の入口が騒がしくなった。
「ねえ、あれ特殊警備隊の制服じゃない?」
「なんで大学に……?」
ざわめきの中心にいたのは、見覚えのある銀髪の青年──九条秋斗だった。
彼は鋭い視線で食堂内を掃射し、やがて私と琥珀を見つけ出す。
「九条くん!」
「胡桃、なんでこんなとこに?」
「ちょっと用事があって。九条くんこそどうしたの?」
「……任務。この辺りで能力膨張反応の報告があった。」
周囲の学生がちらちらとこちらを見ているが、本人はまるで気にしていない。
「へぇ、特警って大学まで張るんだ。大変だね。」
琥珀の声は明るかったが、スプーンを持つ手は止まっていた。

