総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



向かったのは学食棟の二階。
昼時を少し過ぎていたおかげで席は空いていて、窓際の二人掛けにすんなり座れた。

琥珀が運んできたカレーからは、食欲をそそるスパイスの香りが立ち上っている。



「はい、辛さ普通ね。……あ、もしかして辛いのダメだった?」

「平気だよ、ありがとう」



一口食べると、じんわりと温かさが広がっていく。


……というか私、なんで琥珀とランチしてるんだ。

なんだかんだ、いつも彼のペースに巻き込まれてしまう。



悪い人ではないんだけど…。

その捉えどころのなさに、どこか不安を拭いきれない自分もいた。



しばらく二人で食べていると、突然学食の入口が騒がしくなった。



「ねえ、あれ特殊警備隊の制服じゃない?」

「なんで大学に……?」



ざわめきの中心にいたのは、見覚えのある銀髪の青年──九条秋斗だった。

彼は鋭い視線で食堂内を掃射し、やがて私と琥珀を見つけ出す。



「九条くん!」

「胡桃、なんでこんなとこに?」

「ちょっと用事があって。九条くんこそどうしたの?」

「……任務。この辺りで能力膨張反応の報告があった。」



周囲の学生がちらちらとこちらを見ているが、本人はまるで気にしていない。



「へぇ、特警って大学まで張るんだ。大変だね。」



琥珀の声は明るかったが、スプーンを持つ手は止まっていた。