総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ

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窓の外から差し込む朝の柔らかな光が、更衣室の床に長い影を落としていた。

洋服のリボンを結び終えたその時、背後の扉から控えめなノックの音。


「あ、はい!どうぞ!」


振り返ってそう声をかけると、ゆっくりと扉が開く。

入ってきたのは桜だった。


「お車の準備ができました。」

「ありがとう。今行く!」


返事をして、急ぎ足で扉へ向かおうとしたその時。


「あ、ちょっと待ってください…!」


すれ違いざまにかけられた制止の声に、ぴたりと足が止まる。


「どうかしたの?」


不思議に思って振り返れば、桜が音もなく数歩だけ距離を詰めてくる。

彼女の視線が、私の喉元……鎖骨のあたりにふっと落ちた。


その直後、彼女の口元が綻び、くすっと悪戯めいた小さな笑いがこぼれる。



………え? なに? 私、何か変な格好してる……?


困惑する私に桜は何も言わず、手元にあった手鏡をこちらへと向けた。



「外出なさるのでしたら、隠した方がいいかもしれませんね」



最初は何を言われているのか、全く理解が追いつかなかった。

けれど、鏡の中に映り込んだ「自分」と目が合った瞬間、心臓が跳ね上がる。



「……っ!」



顔が一気に熱くなる。


白い肌に、はっきり残る赤い噛み痕。

鎖骨の、少し上。