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窓の外から差し込む朝の柔らかな光が、更衣室の床に長い影を落としていた。
洋服のリボンを結び終えたその時、背後の扉から控えめなノックの音。
「あ、はい!どうぞ!」
振り返ってそう声をかけると、ゆっくりと扉が開く。
入ってきたのは桜だった。
「お車の準備ができました。」
「ありがとう。今行く!」
返事をして、急ぎ足で扉へ向かおうとしたその時。
「あ、ちょっと待ってください…!」
すれ違いざまにかけられた制止の声に、ぴたりと足が止まる。
「どうかしたの?」
不思議に思って振り返れば、桜が音もなく数歩だけ距離を詰めてくる。
彼女の視線が、私の喉元……鎖骨のあたりにふっと落ちた。
その直後、彼女の口元が綻び、くすっと悪戯めいた小さな笑いがこぼれる。
………え? なに? 私、何か変な格好してる……?
困惑する私に桜は何も言わず、手元にあった手鏡をこちらへと向けた。
「外出なさるのでしたら、隠した方がいいかもしれませんね」
最初は何を言われているのか、全く理解が追いつかなかった。
けれど、鏡の中に映り込んだ「自分」と目が合った瞬間、心臓が跳ね上がる。
「……っ!」
顔が一気に熱くなる。
白い肌に、はっきり残る赤い噛み痕。
鎖骨の、少し上。
窓の外から差し込む朝の柔らかな光が、更衣室の床に長い影を落としていた。
洋服のリボンを結び終えたその時、背後の扉から控えめなノックの音。
「あ、はい!どうぞ!」
振り返ってそう声をかけると、ゆっくりと扉が開く。
入ってきたのは桜だった。
「お車の準備ができました。」
「ありがとう。今行く!」
返事をして、急ぎ足で扉へ向かおうとしたその時。
「あ、ちょっと待ってください…!」
すれ違いざまにかけられた制止の声に、ぴたりと足が止まる。
「どうかしたの?」
不思議に思って振り返れば、桜が音もなく数歩だけ距離を詰めてくる。
彼女の視線が、私の喉元……鎖骨のあたりにふっと落ちた。
その直後、彼女の口元が綻び、くすっと悪戯めいた小さな笑いがこぼれる。
………え? なに? 私、何か変な格好してる……?
困惑する私に桜は何も言わず、手元にあった手鏡をこちらへと向けた。
「外出なさるのでしたら、隠した方がいいかもしれませんね」
最初は何を言われているのか、全く理解が追いつかなかった。
けれど、鏡の中に映り込んだ「自分」と目が合った瞬間、心臓が跳ね上がる。
「……っ!」
顔が一気に熱くなる。
白い肌に、はっきり残る赤い噛み痕。
鎖骨の、少し上。


