総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ





返事はなくて。

すうっと息を吸い込む音が聞こえた。



そのまま少しだけ距離を取られて、覗き込まれる。

酔って潤んだ目。

なのに、表情だけが、拗ねたみたいに曇っている。



「……なんか、おれのじゃない匂いする」

「え…?」

「知らない男の匂い」



一瞬、思考が止まった。



「………???」



そんなの思い当たる事何もないけど…。

知らない男──もしかして、琥珀?


……確かに昼間ぶつかったけど…。

それだけで匂いなんてわかるものなのか。


……いや、でも今の叶兎くんはかなり酔っている。

吸血鬼はもともと感覚が鋭いけど、酔いのせいでいつもよりさらに感覚が過敏になっている可能性はある。