「……吸わないの?」
恐る恐る目を開けて見上げると、叶兎くんは少しだけ瞳を細め、可笑しそうに私を見下ろしていた。
「なに、吸ってほしいの?」
「っ……!」
私は言葉に詰まって、猛烈に顔を赤くした。
「……ま、紛らわしいことしないでっ!」
期待してしまったのが悔しくて、むっと言い返す。
叶兎くんに血を吸われるのは、嫌いじゃない。
——血を吸われる時の、
怖さと、甘さと、抗えない感覚。
……むしろ、叶兎くんに求めてほしい、叶兎くんの特別な存在でありたいと願っている自分が、確実に私の中に存在していた。
「吸おうと思ったけど、今吸ったら止まれなくなりそーだったから」
耳元で囁かれて、背筋がぞくりとする。
「その代わり」
そう言うと、私の額に優しく、愛おしそうにちゅっと唇を落とした。
「後で、沢山頂戴?」
…〜っ!
唇へのキスですらないのに、胸が破裂しそうなくらい心臓がうるさく跳ね除けている。
叶兎くんは元々意地悪でドSなところがあったけれど、恋人同士になってからはさらに甘さに磨きがかかっていて、私の心臓が本当に持たない……!


