総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ






「……吸わないの?」



恐る恐る目を開けて見上げると、叶兎くんは少しだけ瞳を細め、可笑しそうに私を見下ろしていた。



「なに、吸ってほしいの?」

「っ……!」



私は言葉に詰まって、猛烈に顔を赤くした。



「……ま、紛らわしいことしないでっ!」



期待してしまったのが悔しくて、むっと言い返す。


叶兎くんに血を吸われるのは、嫌いじゃない。



——血を吸われる時の、

怖さと、甘さと、抗えない感覚。


……むしろ、叶兎くんに求めてほしい、叶兎くんの特別な存在でありたいと願っている自分が、確実に私の中に存在していた。



「吸おうと思ったけど、今吸ったら止まれなくなりそーだったから」



耳元で囁かれて、背筋がぞくりとする。



「その代わり」



そう言うと、私の額に優しく、愛おしそうにちゅっと唇を落とした。



「後で、沢山頂戴?」



…〜っ!

唇へのキスですらないのに、胸が破裂しそうなくらい心臓がうるさく跳ね除けている。



叶兎くんは元々意地悪でドSなところがあったけれど、恋人同士になってからはさらに甘さに磨きがかかっていて、私の心臓が本当に持たない……!