総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




「って、凪そろそろ行かないと時間やばくない?」

「そうだな。胡桃、琥珀が変なことしたらすぐ俺らに報告してくれ」



なんて言い残して、2人は図書館から早足で去っていく。


琥珀は少しだけ間を置いてから、私の積み上げていた本の一冊をそっと引き抜いた。



「これさー、ウチのゼミの教授が保管してる倉庫にもっと詳しいのあるけど。見たい?」

「えっ」



思わず声が出る。

ここにあるものよりも、詳しい資料…?



「ページが破損してたり、汚かったり、ここには置けないやつがあるんだよね」



それは、見たいかも…!

でも初対面の私になんでここまでしてくれるんだろう?



「胡桃、表情分かりやすすぎ。いいよ、でも許可は取らないとだからまた別の日に来てくれるなら、だけど」



そういって琥珀はくすっと笑った。



「連絡先だけ交換していー?」



気づけば、完全に琥珀のペースだった。



「あ、うん…!」



そのまま流されるように連絡先を交換して、次に会う約束までできてしまう。



「じゃーまた連絡するから」



そう言って立ち上がった琥珀が私の頭に、ぽん、と軽く手を置いた。

あまりにも自然で、拒否する隙もないほど



「またね〜」



その背中を1人見送っていた。


胸の奥に、言葉にできない違和感を静かに抱えたまま。